3.6情報システムの診断・指導

(0)情報システム化の企画段階での指導
  2.2情報サブシステムの企画段階での指導

 

情報化対象業務の分析と改善が必要な理由
 情報化を成功させる前提は、必要な経営管理の明確化業務プロセスの改善である。
 情報システムの企画段階では、経営管理の目的の明確化業務プロセスの見直しについ
ての診断あるいは指導が絶対的に必要である。

 

情報サブシステム化の対象となる経営管理の目的とその実現内容の明確化
当該企業の経営管理を強化するために必要な具体的情報の明確化

@ 経営者が必要とする具体的情報を認識していること
A どの企業でも必要な管理項目、例えば事業別予算・実績管理(ただし、事業や企業
 としての特徴に合った把握方法を設定できることが必要)、商品別、顧客別売上損益
 など から、当該企業で強化すべき管理情報を明確にする
B 売上、利益を向上させるために必要な具体的活動の管理情報を明確にする
C 卸売業として、一般的にかかえている経営課題を解決するために、把握が必要な項
 目 から、当該企業において該当する情報項目を明確にする
  例えば、物流コストの低減が必要でも、物流コストは活用できるほど十分的確に把
 握 されていないで、経営課題解決につながっていないケースが多い。 

情報を収集する仕組みが持つべき特徴

@ 確実な収集方法であること
A データが正確であること
B 継続的な収集ができること
C 収集の負荷が小さく、運用が容易であること。自動的に収集できること
D 誰でもができること

活用できる形態で情報を提供させるための仕組み

@ 周期的に、継続的に必要な経営管理のための情報は、最適な内容で自動的に出力され
 提供できる仕組みが必要である
A 比較的頻繁に分析的な使用が必要な情報は、OLAP(Online Analytical
 Processing)的な処理ができる仕組みと情報の蓄積が必要となる
B 自由で、容易な検索ができる仕組みの提供が必要である

 

情報システム化対象の業務プロセスの分析と改善を行う上での留意点
業務の目的とメカニズムをつかむ

@ 企業における業務:目的を達成するための手段、有効に機能するためには
  ・期待されている特定の目的の達成
  ・その過程で使用される特定のメカニズムと手続き
  が適切であることが必要
A 業務が有効に行われていないということは次のどちらかである
  ・目的を取り違えている
  ・手段をあやっている

企業での業務

@ 業務は経営活動の機能(function)を具体的に表すものである
A 業務を目的を達成するための一貫したメカニズムとしてとらえる
  ・物質的なメカニズム:商品の保管、配送など
  ・抽象的、形而上的なメカニズム:権限や周囲の人を動かすコミュニケーションなど
B ビジネスは、受注、仕入、生産、納品、販売などを統合した概念であり、ビジネスシ
 ステムは全体を効率化しようとする概念である。業務を形成する部分、部分だけにとら
 われてはならない

 

業務分析と改善での指導のポイント
改善目的(あるべき姿) ⇔ 現在のやり方(今の姿

問題点の発見
(あるべき姿との相違点)

解 決 策
(あるべき姿への改善策)

 

情報システム化を前提とした業務分析の対象と目的
対   象 目     的 具 体 的 目 標
ビジネス・システム ・ビジネスシステムの機能向上、
有効性向上
・ビジネスのプロフィット向上が目的である
部門業務機能 ・機能向上 ・情報伝達、情報処理や意思決定の迅速化、
 タイムリー化、オペレーションの容易化など
人、組織 ・スリム化
・仕事の割当ての明確化と
合理性の追求
・デシジョン・プロセスの明確化
・意識変革を加味した簡素化
・従来の組織にとらわれない、目的達成のた
めの役割と責任
・意思決定プロセスを明確にして、より正確
で迅速な意思決定を図る
物流 ・モノの動きとビジネスの流れを
正確に捉える
・動きによるコストを正確にとら
え最小化を図る
・合理性の高いシステムをつくり、費用を限界ま
で低減する
・顧客サービスレベルを上げる
卸売業における受注から出荷までの基本業務と情報の流れ

1.受注業務の効率化、正確化、迅速化
 ├オーダ・エントリ業務増加への対応
 └顧客サービスの改善

2.商品管理業務のレベル向上
 ├品揃えの的確化とカテゴリーマネージメントの推進
 └死に筋商品の排除による在庫ロスの低減

3.在庫管理業務のレベルアップ
 ├帳簿在庫(コンピュータ在庫)と現物在庫の不一致
 ├品切れや過剰在庫の発生

 └倉庫における商品の保管管理が不充分

4.出荷業務効率化
 ├商品のピッキング、仕分作業の効率化
 └ピッキング、仕分作業の正確化

5.配送管理レベルの向上
 ├顧客サービス水準の維持、向上
 └
リーズナブルなコストによる運営の実現

6.リテールサポート業務のレベル向上
 ├マーチャンダイジング支援
 └情報化支援