3.6情報システムの診断・指導

(0)情報システム化の企画段階での指導

情報システム基盤構築のポイント
1 社員の情報活用力を高め、各階層の意思決定力を上げていくのであれば、情報の
 共有化とコミュニケーションの強化を図るための情報システムの構築が必要となる
 例えば、情報の共有化が可能なデータベースの構築が考えられる
2 意思決定の迅速化を考えると、集中/分散のバランスのとれた情報システム基盤
 の確立が望ましい3 コミュニケーションを高め、また集団での作業効率を上げて
 いくのであれば、グループウェアの導入も基盤として検討しなければならない
4 顧客志向で社内のビジネスプロセスを横断的に進めるのであれば、そのようなビ
 ジネスの流れを支援する情報システムの構築が必要である。例えば、卸売業におい
 ては受注〜納品までの業務を統合し、業務のスピードを高めることができるような
 情報システム基盤が必要となる。
5 事業の発展を考え、拡張性が高く柔軟に対応できる情報システム基盤が必要となる。

情報システム基盤を構成するハードウェア、ソフトウェアの必要条件

事業活動に必要とする情報の明確な把握(データモデルの作成)

データベース構築および維持のポイント

データベースの分散と集中の考え方

データの共有化を妨げる要因の排除(活用できるようにするために)
1 企業として情報の重要性の認識の向上_____________________
  ・経営者の意識の向上
  ・重要な情報の明確化
2 共有のための情報基盤の確立
  ・データベース化とアクセス手段の提供
  ・部門間、個人間の情報交換の仕組みの確立
3 情報共有化の前提となる業務体系、データ体系の明確
  ・業務プロセスにおけるデータの種類と流れの明確化
  ・データの体系化
4 データベースのデータの信頼性の向上を図る
  ・入力などの正確化、確実化
  ・誤操作、意図的な破壊を防ぐ

 

ネットワーク化における診断・指導のポイント
(a)社内のネットワーク構築

事業者間のネットワーク化で考慮すべきポイント
1)各事業所間で交換すべき情報と情報量
  ・営業所から物流センターへの受注情報など
2)情報活用の目的とその使用条件(レスポンス・タイムなど)の明確化
  ・営業所から物流センターへの在庫問合せなど
  ・事業所間での相互データベース・アクセスでの要求など

物理的条件の把握
1)通信スピード
2)オンライン・リアルタイムかオンライン・バッジか

(b)社外とのネットワーク化

顧客との間でのネットワーク化
1)小売業にEOS端末を貸し出したり、棚札、オーダーブックを提供することによる受
 発注のオンライン化促進
2)流通VANによる受発注
3)ECR実現のための、小売業の販売情報、在庫情報のオンライン入手

仕入先とのネットワーク化
1)発注のオンライン化
2)業界VANなどを活用した受発注

 

エンドユーザ・コンピューティング(EUC)導入の考え方
経営面から見たEUC導入の理由

@ 戦略的な面からの事業運営
A 革新的な業務プロセスの確立
B 意思決定の迅速化と環境変化への対応の素早さ
C やる気を生む情報システム化と情報活用による創造的な業務の遂行

EUC化による組織の活性化(業務遂行の面から)

@ 現場への権限委譲が伴えば、主体的、能動的な業務遂行が可能となる
A 業務改善へつながる可能性がある

EUC化による組織の活性化(情報システム構築の面から)

@ 情報システムを構築したり、情報を活用する場面に参加させることで、社員の仕事を
 創造的な方向に向ける
A 現場の情報リテラシーが上がる

コード体系の整備

 

全社情報システム化の推進体制
全社情報化推進委員会のポイント

@ 中小企業においては、社長あるいは力のある経営陣がリーダーとなることが重要で
 ある
A 情報システム部門だけでなく、ユーザ部門からの参画が必要である。
 決定権限のある人が望ましい
B 具体的な情報サブシステムの企画・開発プロジェクトのリーダとなる要員は、この
 推進委員会のメンバーとなるのが一般的である

 

情報システム化の効果算定と情報サブシステムの優先順位の設定
情報システムの貢献効果

@ 競争優位確立に効果がること
A 経営情報の提供能力の向上と意思決定への支援の効果
B 事業管理における管理統制能力の向上
C ビジネスサイクルの短縮効果
D 情報活用能力の向上など従業員の生産性向上
E 組織間コミュニケーションの向上
F 情報基盤、情報サブシステムの技術的整合性ある資源継承、発展への貢献効果
  ・情報の収集、加工能力向上
  ・開発生産性向上
  ・情報資源の保守コスト低減

開発順序の優先順位の観点

@ 経営計画に対する適時性対応:現在及び近い将来の経営環境から何を優先するのか
 を決定する。例えば、売上向上とかコスト削減など
A 情報サブシステムの開発・運用の阻害要因の解決見通し
B 開発する情報サブシステム要件の技術的視点や全体の整合性からみた開発の順序の
 妥当性:情報基盤構築などにおいて、サーバなどのプラットホームの整備を優先させ
 るか、クライアント側を優先させるか
C 要員の情報活用・運用能力の段階的向上:知識共有システムを優先させるか、業務
 システムを優先させるか。情報活用能力が低いから能力向上のための情報システム構
 築を優先させるのか、上がるまでは業務システムを優先させるのかなど