T 自己資本を充実させたいとき
 →同族会社の留保金課税の停止措置

● 同族会社の「留保金課税」とは 同族会社(3人以下の株主で、持ち株割合が50%超の会社)が、内部留保した金額に対して、追加的に課税される制度。税引き後当期利益が1,500万円超の場合、課税 される。
 留保金課税=(所得等−(配当等+法人税等)−留保控除額)×特別税率

● 同族会社の留保金課税の停止措置とは、一定の要件を満たす中小法人については、留保金課税が停止されることとなった。
  対象:中小法人(資本金1億円以下)
  要件:自己資本比率50%以下
  適用期間:H15.4.1からH18.3.31までに開始する事業年度

※従来からの「留保金課税の不適用」は存続している。
 青色申告書を提出する同族法人で、次のいずれかに該当する者。
 @ 設立後10年以内の中小企業者※
 A 「新事業創出促進法」の認定を受けた事業者
 B 前事業年度に損金算入された「試験研究費」「開発費」の合計が、収入の3%を超えている中小企業者※
  ※中小企業基本法で規定する「中小企業者」

U 欠損金が生じてしまった
  →
欠損金の繰越期間、繰戻還付の特例

● 「欠損金に繰越制度」とは 欠損金が生じたとき、その欠損金額を一定の条件のもとに、以後の事業年度で生ずる所得から控除できる制度
 =この特例の要件=
  @ 青色申告書を
  A 繰越できる期間は、翌事業年度以降から順次行うこと
  B 欠損金の控除は、直近の事業年度から順次行うこと

● 「欠損金の繰戻還付制度」とは 欠損金が生じたとき、その欠損金を前事業年度んの所得に繰り戻して、既に納付済みの法人税の還付を請求することができる制度
 =この特例の要件=
 @ 「中小企業経営革新支援法」の承認を受けた中小企業者で、一定の要件を満たした者。
 A 設立5年以内の中小企業者

● 還付請求できる金額=前事業年度の法人税額×当事業年度の欠損金額/前事業年度の所得金額

V 設備投資を行うとき
  →中小企業投資促進税制と中小企業等基盤強化税制

● この税制では、中小企業者が設備投資等を行った場合、特別償却(30%)または税額控除(7%)が認められる。
 (両税制の重複適用や中古品、事業の用に供していない資産は対象外。)

● 対象業種
 「中小企業投資促進税制」  :青色申告書を提出する中小企業者で、ほぼ全業種
 「中小企業等基盤強化税制」 :    〃     卸売業、小売業、飲食業、サービス業者
※対象となる資産には取得価額の要件があり、最低でも100万円以上となっている。具体は別途。

●中小企業者の範囲
 法人:@ 資本金が1億円以下の法人(大規模法人の子会社は除く)
    A 資本金を有しない法人は、常時雇用従業員が1,000人以下の法人
 個人:常時雇用従業員が1,000人以下の個人
 その他:農業協同組合等
 ※「特定中小企業者」とは、中小企業のうち、資本金が3,000万円(中小企業等基盤強化税制での卸売業、小売業、飲食業、サービス業は例外で1億円)を超える法人以外の法人・個人をいう。

● 特別償却制度:「取得価格×30%」を、通常の減価償却とは別枠で特別の償却できる制度。

● 税額控除制度:法人税額からさらに税額を控除することができる制度で、その分だけ納付税額が少なくなる。
  @ 取得の場合:取得価格×7%
  A リースの場合:リース費用の総額×60%×7%

  →消費税の申告は「本則課税」がおすすめ
   
それまで「簡易課税」を行っていた者が「本則課税」により申告しようとする場合、その事業が開始する日の前日までに「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出しなければばなりません。
  計画的な設備投資が肝心です。

W 情報関連投資を行うとき
 →
IT投資促進税制(日刊工業新聞(2003.8.20)「IT投資減税活用のすすめ」準用)

● 一定のIT関連設備等の投資(取得、リース)を行った場合、ハードウェア・ソフトウェアそれぞれについて特別償却(50%)又は税額控除(10%)が認められる。

※特別償却と税額控除が企業の状況に応じて自由に選択可能。

● 対象となるIT投資:「電子計算機」「デジタル複写機」「ファクシミリ」「ICカード利用設備」「デジタル放送受信設備」「インターネット電話設備」「ルータ・スイッチ」「デジタル回線接続装置」

● IT関連投資の価額要件:(資本金3億円以下の場合)
 取得 …ソフトウェアは 70万円以上、ハードウェアは140万円以上
 リース…リース契約期間が4年以上かつリース資産の耐用年数以下(中小企業の特典)

● 特別償却制度:「取得価格×50%」を、通常の減価償却とは別枠で特別の償却できる制度。

● 税額控除制度:法人税額からさらに税額を控除することができる制度で、その分だけ納付税額が少なくなる。
 @ 取得の場合:取得価格×10%
 A リースの場合:リース費用の総額×60%×10%

※消費税法の改正による「総額表示の義務付け」に対応するための会計処理プログラムの修正費用は、修繕費(損金算入)が可能。

X 小額の投資を行うとき
 →
少額減価償却資産の特例

● 中小企業者が損金算入できる少額減価償却資産が、10万円から30万円に拡充された。

● 「少額減価償却資産」は、その取得価額の全額を損金算入(即時償却)できる。

● 「中小企業者」の範囲
  法人:@ 資本金が1億円以下の法人(大規模法人の子会社は除く)
     A 資本金を有しない法人は、常時雇用従業員が1,000人以下の法人
  個人:常時雇用従業員が1,000人以下の個人
  その他:農業協同組合等

● 少額減価償却資産の会計処理方法(中小企業者は次のいずれかを選択できる。)
  ・少額減価償却制度:30万円未満の資産を即時償却
  ・一括償却制度  :10万円以上20万円未満の資産を3年均等償却
  ・通常の減価償却制度:10万円以上の資産を普通償却

Y 研究開発を行うとき
 →研究開発減税

● 研究開発に対する減税措置
  @ 開発研究用設備の特別償却
  A 中小企業技術基盤強化税制
  B 試験研究費の総額に係る特別税額控除制度
  C 産学官連携の共同研究・委託研究に係る特別税額控除制度
  D 増加試験研究費の特別償却制度

@ 開発研究用設備の特別償却
 研究開発用設備(耐用年数表の資産で取得価額280万円以上)を取得し、これを研究開発の用に供した場合、その取得価額の50%を特別償却できる。

A 中小企業技術基盤強化税制
 中小企業者の試験研究費の総額に対して12〜15%の税額控除が認められる。
 (法人税額の20%を限度)

B 試験研究費の総額に係る特別税額控除制度
 試験研究費の総額に係る特別税額控除制度試験研究費の総額に対して10〜12%の税額控除が認められる。(法人税額の20%を限度)

C 産学官連携の共同研究・委託研究に係る特別税額控除制度
 企業と大学、公的研究機関等との共同研究 及びこれらに対する委託試験研究に係る試験研究費に対して12〜15%の税額控除が認められる。 (法人税額の20%を限度)

D 増加試験研究費の特別償却制度
 「試験研究」とは、@ 製品製造又はサービスの提要に係る試験研究A 技術の改良、考案又は発明に係る試験研究

● 「対象となる試験研究費」:原材料費、人件費、経費、外部への委託試験研究費、繰延資産の内の試験研究費の償却費

Z 事業継承を円滑にしたい
  →相続税、贈与税の特例

● 相続税の概要:基礎控除額(5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数))までは税金もかからず、申告も不要。(税率は省略)

● 贈与税の概要:基礎控除(年間110万円)までは贈与税がかからず、申告も不要。(税率は省略)

● 相続時精算課税制度:将来相続関係に入る親から子への贈与について、選択制により贈与時に軽減された贈与税を納付し、相続時に精算する制度。非課税枠が2,500万円になる。

● 住宅取得資金等に係る相続時精算課税制度:「住宅取得資金等の贈与を受けた場合の贈与税額の計算の特例」についても「相続時精算課税制度」が上乗せする特例が認められる。(非課税限度額550万円→2,500+1,000万円に)

● 小規模宅地等の減額の特例
  @ 特定事業用宅地等:特定事業用宅地等は400uまで評価額の80%が減額される。
  A 特定居住用宅地等:特定居住用宅地等は240uまで評価額80%が減額される。

● 「取引相場のない同族会社の株式」の評価方法(原則的評価方式による)
  @ 類似業種比準方式:一般に公表される類似業種の株価を基に、評価する会社の一株当たりの配当金額・利益金額・純資産価額の三つを比準要素として評価する方法。
  A 純資産価額方式:会社の純資産や負債を原則として相続税の評価に洗替え、その評価した純資産の価額から負債や評価差額に対する法人税等額を差し引いた残りの金額により評価する方法。
  ・大会社の場合:原則として「類似業種比準方式」で評価する。
  ・中会社の場合:「類似業種比準方式」と「純資産価額方式」との併用方式による評価。
  ・小会社の場合:原則として「純資産価額評価方式」で評価する。
          選択により下記併用方式による選択も可能。

● 自社株式(取引相場のない株式等)に対する相続税の課税価額を10%軽減する制度

[ その他の税制

● 法人税率の軽減
  中小企業は、大企業と比べて低い法人税率が適用されている。
  大法人:30%
  中小法人(資本金1億円以下):所得が800万円以下の場合は22%

● 交際費課税の緩和交際費の損金不算入について、
  中小企業は一定額の損金算入が認められている。
  〜H16.2:資本金5,000万円以下の場合、最大3,200,000円まで算入可能。
  〜H16.3:資本金1億円以下の場合、最大3,600,000円まで算入可能。

● 中小企業再生円滑化税制
  代表者が個人保証債務を履行する場合、資産譲渡益のうち会社へ求償が不可部分非課税措置。