生産管理:ジャストインタイム生産方式

ジャストインタイム生産方式
JITシステム
│ ├多品種少量生産の生産原理
│ ├不要な在庫を作らない
│ └低コストを実現
トヨタ生産方式
 └
かんばん方式
  └生産と在庫を管理・統制する

JITシステムの基本構成
JITシステムは、徹底的なムダの排除によるコスト低減を目指した生産システム
2本の柱
ジャストインタイム自動化、それを支える平準を基本要素としている。
1)ジャストインタイム(JIT)
 
必要なものを、必要なときに、必要なだけ生産または調達すること。
 「後工程引取、後補充」方式を前提に、その道具として「かんばん」を使用。
 
後工程引取方式:後工程は使った量だけ、前工程へ取りに行く方式
 
後補充方式  :後工程が引き取った量だけ作って補充する方式
 ※引取りと補充を統御するシステムが
かんばん方式
2)平準化
 後工程が自己の都合だけで一度に大量の部品を引き取ると、前工程は必要以上の在
庫を保持したり、余分な生産能力を保有する必要が生じる。それはシステム全体で見
るとコスト増となる。したがって、後工程は部材の消費量を品種と量の両面で平準化
することが要請される。
 そのためには生産の計画と実施の両面からのアプローチが要請される。
 @ 生産計画:月当たり生産数を稼動日数で割り、さらに混合組立ラインへの投入
  する製品品種の混合を平準化する。=販売速度に合わせて生産する。
 A 生産実施:大ロットから小ロット、究極的は「1個流し生産」を実現すること。
  小ロット生産化には段取り時間の短縮が不可欠。また、小ロット多回運搬を実現
  するために巡回混載などの工夫と協力が必要。
3)自動化
 不良品の発生を防止するための「問題が起きれば止まる仕組み」を機械や工程に設
置すること。
 例)金型から加工を終えたワークが正常に機械から排出されたかどうかを感知し、
排出されないと機械が自動的に停止する仕組みなど。
 「かんばん方式」では、不良品が後工程に流れることを前提としていないため、品
質の作り込みは特に重要となる。

 

7つのムダ
ムダの4分類                                
├ムダであることが認識されており、解決方法も分っている場合。
├ムダであることが認識されているが、解決方法が見つかっていない場合。
├ムダであると認識されていないが、解決方法が存在する場合。
ムダであることが認識されておらず、解決方法も見つかっていない場合。
※ムダの排除において最も重要なことは、存在するムダをムダだと認識すること。
7つのムダ
不良手直しのムダ:不良品
作りすぎのムダ:早く作りすぎ
加工のムダ:付加価値のない不要な加工
運搬のムダ:製造業での運搬はすべてムダ
在庫のムダ諸悪の根源
動作のムダ:付加価値の生まない動作
手待ちのムダ:監視作業や仕事待ち

 

JITシステムを支えるツール
1)少人化と創意工夫
 需要量が変化した時、作業者数を変化させ、いつも必要最小限の人数で需要に対応でき
る柔軟な職場が求められる。
2)多工程持ちと標準作業票
 標準作業組合せ票を使って、多工程持ち作業に対する作業標準を決め、これを標準作業
票に記載して工程の適切な箇所に掲示する。
 標準作業票には、「サイクルタイム」「作業順序」「仕掛品の標準手持ち」の3点が明
示される。
3)目で見る管理
 異常を異常と認識させ、問題を問題と認識させるために目で見る管理は重要視される。
倉庫を廃止し、在庫品をラインサイドに直置きするのも目で見る管理。ポカヨケでの光や
音による警告、アンドン、呼出し灯、標準作業票、かんばん、在庫場所を示すストア表示
板、在庫品表示などもすべて目で見る管理である。
4)順序引取り
 エンジンやシートなど大物部品は、ラインオンした後適当なタイミングでエンジン工場
などに納入指示が発令される。生産工場では指示の順に単位数揃えて納入する。これを順
序引取りまたは順引きという。
5)みずすましと定時・巡回混載方式
 みずすましは、工場内の前工程と後工程を巡回して後工程へ多様な部品を供給すること。
 定時・巡回混載方式とは、サプライヤーが部品を多回納入する時、1社で十分な積載量
が得られない場合、同一地域内の複数の会社を巡回し、混載して運搬し、積載効率を高め
ることをいう。