融資制度の基本、心構え

中小企業にとって最も重要で、最も弱点と言わざるを得ない「金融」。
中小企業者への支援においても大きなウェイトを占める支援施策であり、この支援を受けて
再生・活力を取り戻した企業も少なくないはずである。
これほどに我々中小企業支援機関にとっても中心的な支援施策になっている金融等融資制
度の基本とともに、金融機関と上手に付き合うために経営者が心がけるべきことなどについ
て考えてみたい。


資金調達の方法
 ├親族・知人からの借入
 ├融資
 ├補助金・助成金
 ├投資
 └社債
 
公的融資制度の基本
金融対策の体系
 ├融 資 ─┬ 政府系中小企業金融機関 ┬ 中小企業金融公庫
 │     │             ├ 国民生活金融公庫
 │     │             └ 商工組合中央金庫
 │     └─ 国・都道府県融資
 │
 ├信用補完 ── 信用保証協会
 │
 └自己資本の充実 ── 中小企業投資育成株式会社
 
補助金・助成金の最新情報リンク先
中小企業庁     http://www.chusho.meti.go.jp/chu_top.html

中小企業ビジネス支援検索サイト
          
http://j-net21.jasmec.go.jp/

中小企業・ベンチャー総合支援センター
          
http://www.jasmec.go.jp/center/index.html

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
          
http://www.nedo.go.jp/

情報処理推進機構(IPA)http://www.ipa.go.jp/

通信・放送機構(TAO) http://www.shiba.tao.go.jp/

厚生労働省     http://www.mhlw.go.jp/

中小企業総合事業団 http://www.jasmec.go.jp/

電子政府の総合窓口 http://www.e-gov.go.jp/

農林水産省     http://www.maff.go.jp/index.html

(財)助成財団センター  http://www.jfc.or.jp/

 
銀行が行う中小企業への金融検査
1.代表者等の資産との一体性
  ├@ 実態的な財務内容:代表者等からの借入金で当面その返済を要求していない場合、
  │          これは自己資本相当額として勘案する。
  ├A 多額な代表者報酬による赤字:代表者への多額な役員報酬、家賃などから赤字
  │           なっている場合、赤字のみをもって債権者区分を行わない。
  └B 代表者の個人資産の加味:企業に返済能力がない場合であっても、代表者・親族に
             預金等の個人資産が多額にあり、当該資産を企業に提供する意
             思が確認できる場合は、これを勘案する。その際は、その者に
             借入金や第3者保証がないかも確認する。

2.企業の資質等
  ├C 技術力:高い技術力を背景に、今後受注が見込まれ、業績の改善が予想できる場合
  │      これを勘案する。
  ├D 販売力:販売基盤が強固で、今後これらの強みを活かして業績の改善が予想できる
  │      場合は、これを勘案する。
  └E 代表者の信用力、経営資質:一過性の原因により業績が低迷しているが、代表者の
         信用力や経営資質が非常に高く、これらを背景に業績の回復が見込まれる
         場合には、これを勘案する。

参考:金融検査マニュアル http://www.fsa.go.jp/index.html

 
信用格付の例  
格付/定義(債権者区分)
/財務内容が優れており、債務履行の確実性が最も高い。(正常先)
/財務内容が良好で、債務履行の確実性は高いが、事業環境等が大きく変化した場合はそ
  の確実性が低下する可能性がある。
(正常先)
/財務内容は一応良好で、債務履行の確実性に当面問題はないが、事業環境等が大きく変
  化した場合はその確実性が低下する可能性がある。
(正常先)
/財務内容は一応良好で、債務履行の確実性に当面問題はないが、事業環境等が大きく変
  化した場合はその確実性が低下する懸念がやや大きい。
(正常先)
/債務履行の確実性は認められるが、事業環境等が変化した場合は、履行能力が損なわれ
  る要素が見受けられる。
(正常先)
/債務履行の確実性は先行き十分とは言えず、事業環境等が変化した場合は、履行能力が
  損なわれる可能性がある。業況推移に注意を要する。
(正常先)
/業況、財務内容に問題があり、債務の履行状況に支障をきたす懸念が大きい。(要注意先)
/業況、財務内容に重大な問題があり、債務の履行状況に問題が発生しているかそれに近
  い状態。
(要注意先)
/経営難の状態にあり、経営改善計画等の進捗が芳しくなく、今後、経営破綻に陥る可能
  性が大きい。
(破綻懸念先)
10/深刻な経営難の状態にあり、実質的な破綻状態に陥っている、または法的・形式的な破
  綻の事実が発生している。
(実質破綻・破綻先)
   
信用格付付与のプロセスとその活用法
@ 債務者の財務実態評価
  ├財務諸表上の計数を評点化する。(財務スコアリングモデル)
  └債務者の含み損益などから財務諸表を修正し、実態的な財務データ化する。
A
定性要因による調整
  └財務諸表のみでは債務者の信用度を的確に把握できないと判断される場合は、
   定性要因(業種特 性、経営者の能力、技術力等)により必要な修正を行う。
B
外部情報の勘案
  └外部格付機関による格付との比較検討を行う。→格付の確定
C
信用格付の見直し
  ├信用格付けは取引時点で付与する。
  ├見直しは、年度決算をもとに年1回定例的に実施する。
  └債務者の信用度に変化が生じた時点で適時見直しを行う。
D
信用格付の活用
  ├イ)融資方針の決定
  ├ロ)貸出金利の設定
  ├ハ)与信決裁権限の設定
  ├ニ)信用リスクの計算化
  ├ホ)リスク資本の配賦
  └ヘ)収益管理

外部格付サイト 
http://www.standardandpoors.com/japan/
自己評価マニュアル(中小企業診断協会)
        
http://www.j-smeca.or.jp/
                                         
情報を開示し銀行を「味方」につけよう
 中小企業金融における借入が円滑でなく条件面で厳しくなる背景のひとつに、大企業では貸
出し後のモニタリングが行ないやすいが、中小企業の場合はコスト面などからそれが困難なた
めに金融機関では監視ができないことに起因していることが挙げられる。

 そこで金融機関に情報の蓄積が効果的になされるよう、中小企業では「積極的な情報開示や
担当者との密な接触が不可欠」となる。

 中小企業の特性として決算書などで得られる定量的な情報のほかに、人柄や技術力、取引先
との関係など定性的な情報の重要性が挙げられる。このような定性的な情報を金融機関が把握
するためには、金融機関の担当者の頻繁な訪問もさることながら、企業側の主体的な取り組み
が求められる。

 具体的な方策としては、
 ├@ 社長自ら損益計算書とその要因、現在の受注状況等を記載した
営業報告書を作成し、
 ├A 社長自身がすべての
取引銀行を回り
 ├B その
営業報告書を説明する。
 ├C また、
業況悪化した場合でも、悪化の要因と改善計画を策定して報告を行う。
 ※このディスクローズの積み重ねが銀行との良好な関係を築き、借入の円滑化につながる。
 └D
メイン銀行の代替となる銀行との取引関係も保有することも検討する。

 
まとめ(資金調達対策の王道
├ 金融庁は、今後「キャッシュフローの確保」や「金融機関との取引実績」を重視した検証
│ に重点を置く。
├ 中小企業の資金調達は小手先の調達ノウハウだけとしない。
財務内容の改善こそが資金調達対策の決め手
├ 経営者の考え方や経営の方向性を金融機関に説明し、理解させ、改めるべきは改める姿勢。
金融機関との信頼関係を構築する。